ある日、化学物質過敏症 山内稚恵
本文より 原文まま
胃が痛むとかいうのは、みんな自分にも経験があるから理解できるし、
肺がんだと聞けば、それは大変な病気だと同情する。しかし隣家の壁塗りで
呼吸困難を起こし「頭がしめつけられそうだ」と聞かされても、へぇーと
あきれるだけで、内心は、珍奇な動物を見るような思いだろう。
ましてや波板から出るごく微量のプラスチックポリマーに至っては、
その臭いも刺激も普通では感じられないから、刺激が出るといっても「気が
おかしいのだろう」で片付けられる可能性が高い。
化学物質過敏症の方の手記だから、その辛さが痛いほど伝わってくる。
今は異常がない人が、ある日突然発症してしまう。
今を生きる人、すべての人に危険性がある現代病のひとつ。
しかし、知ることで予防が出来る。
建築資材は化学物質のオンパレード。扱う人に知識がなければ、住まい手はもちろん
隣家にも影響が及ぶ。心して吟味しましょう。
「空気には境界線はないのです。」
また、本文に断熱材に関する記載があるので紹介します。
本文より 原文まま
ある日、きしるようなキーッという音がしはじめたかと思うと、たちまち頭痛と、
くらめき、舌の灼熱感におそわれた。窓をあけると、うっすら白い煙がたっている。
ビニール製品か何かを焼きはじめたのかと思ううち、顔がピリピリし息が苦しくなってきた。あわてて北側の窓を全部しめた。夜に入っても、頭痛と舌の灼ける感じが残り、
唇の内側に数個の水疱ができた。
この時は、建築現場の南側に住む家の人も、あまりの刺激におどろいて思わず家を
飛び出して苦情を言ったそうだ。あとで、工事を請け負ったA工務店に聞くと、白煙の
ように見えたのは、機械ノコで発泡ポリスチレンの板を切断した時に出た微粒子が立ち上がったものだという。
あえてコメントはしませんが・・・