ひとの居場所をつくる 西村 佳哲
ひとの居場所をつくる: ランドスケープ・デザイナー 田瀬理夫さんの話をつうじて (単行本)
- 作者: 西村佳哲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/09/09
- メディア: 単行本
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これからの日本でどう生きてゆこう?:ちょっと重たい命題を、ランドスケープ・デザイナー田瀬理夫さんの仕事を通して考えてみよう、という本。
田瀬さんが考えるランドスケープ・デザインとは、緑をきれいに配置することではなくて、緑を通じて共有される空間の豊かさや意識、パブリック・マインドを獲得するきっかけづくりを提供するもの。
これを私なりに解釈すると、
個人の満足もいいけど、人との繋がりにも視点を移してみよう。そして、みんなで愉しめば、もっと幸せになれるよ!そんなメッセージが聞こえてくる。家を造ることは個人の満足を満たすものではあるが、隣家との繋がりや街並みにも気を配り、街の景観のひとつとして溶け込むような家を造ってほしい。未来に、いい街並みを残すために。
次に、共感した本文を紹介します。
私たちが毎日繰り返している、ごく他愛のない積み重ね、つまり生業や暮らしのディテールこそが文化であり、それが景観をも形づくる。であるなら景観をつくろうとするのではなく、まず人の営みを形にしよう。風景の中に人が居続けられる状況をつくってゆこう。
最後に、私が「時間」ということを改めて考えさせられた記述を紹介します。
地上の生命活動の大半は、植物も昆虫も動物も「太陽の時間」に沿っているが、私たちの社会はそれとは別の「時計の時間」で運用されている。日本ではこの二つの時間が別種のものであることも、都市環境の人工性/自然性の話と同じく、あまり意識化されていないと思う。
これを読んだ時、「不都合な真実」という映画のワンシーンを思い出した。それは、宇宙から見た夜の日本の姿が、北から南まで日本列島の形がはっきりと認識ができるほど、明りが灯されているシーン。本当の豊かさとは?時間を有意義に過ごすとは?ふと、考えることがある。いまだ確かな答えは出ていないけど・・・