たかが3万円、されど3万円
脱サラして15年。起業した頃は、建材を売っていた。
一ヶ月目の売上は、3万円だった。
たかが3万円、されど3万円。非常に嬉しかった。
期待と不安のなかで、初めて自分の手でつかみとった金額だった。
あの時は本当に一生懸命だったな。燃えていたな。
真剣に物事に打ち込むことの愉しさを実感できた。
自慢ではないが、すぐに売上は伸びていった。
月に500万円に達した時には、これが限界かな・・・
人を雇うかどうか考えたが、まだまだ工夫することがあったので
妻と二人で頑張ってみた。
すると一年後には1000万円を超えていた。
そして3年があっという間に過ぎていた。
売上は年商1億円を余裕で超えていた。
もう、価値ある3万円のことなどすっかり忘れていた。
自分の目線は「売上高」をみて、「住み手」を見ていなかった。
ちょうどその頃、テレビでシックハウス症候群の特番があり、なにげに見ていた。
自分の売っている建材が原因で、家に住めなくなるかもしれない。
ショックで涙を流していた。
起業する時の動機は「社会に貢献すること」だったな。すっかり忘れていたな。
その時を境に、シックハウスの事を勉強し始めた。
建材への規制は2003年のシックハウス法でホルムアルデヒドの使用規制など
ができた。でもシックハウスの8割は、カビやダニが原因であることが分かった。
根本的な解決法は「断熱にある」と理解した私は、「断熱」を勉強し始めた。
もともと建材屋だから、グラスウールも発泡系断熱材も扱っていたが、現場での施工を
見ていなかった。そして、施工を見て愕然とした。
「なにこれ?こんな施工でいいの?」
この家に住む方の事を考えると心が痛かった。
それから「断熱施工」が大切なことを知り、施工がきちんとできるものがないか探した。それが「セルロースファイバー」だった。
「断熱施工」の大切さを理解していない者が、施工してもダメなんですね。
もう自分でやるしかないでしょ!
起業した時の初心に戻れば、出来るでしょ!!
また、3万円からはじめよう。そして今度は、住む人が本当に安心して住めるモノを
提供していこう。完璧なセルロースファイバー断熱施工をすることで!
今から10年前のことです。